柔軟な人 : モノクロ写真-572ロンドンのコベント・ガーデンで写真を撮っていたら、
『ここは個人所有地だから写真を撮るな!撮った写真を削除しろ!』
と占い師の中年女性がすごい剣幕で迫ってきた。
「すみませんでした。撮影禁止なんですね。でも撮った写真は削除しませんよ。」
と言い返した。
するとその中年女性は怒鳴り始めた。
『削除しないなら警察を呼んでやる!』
「そうですか。それでは警察を呼んでください。」
と冷静に言い返した。
マーケットのセキュリティーらしき年配のオジサンがやって来たので、事情を説明し、警察を呼んでもらうことにした。
しかし、待てど暮らせど警察官は来ない。
こんなことに付き合うほどイギリスの警察官は暇ではないのだ。
中年女性の頭に登った血は下がる様子を見せない。
「絶対に削除しませんからね!」
と火に油を注ぐように言ってみた。
『この分らず屋め!お前のような糞外国人は自分の国に帰れ!』
「え?それ本音ですか?それは言いすぎですよ!そんなこと言われたら僕も怒りますよ!」
「あなた人種差別者ですか?」
そう聞かれた占い師の中年女性は唇をかみ締めて黙って下を向いた。
なんとなく場がしらけたので、写真を削除してあげた。
最近、似たような問題が警察官やセキュリティー・ガードマンと写真家の間で多発しており、写真家の権利を訴える団体まで発生している。
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